WiMAX 通信機能を内蔵している「WiMAX パソコン」(最近は「すぐネット PC」とも呼んでいるようだ)と、ルーター(WiMAX Speed Wi-Fi)とでは、どちらが高速に WiMAX 通信ができるのか、比較してみた。
Let's note にインストールしてある WiMAX ソフトウェアのバージョンは 6.5。
WM3600R は、パソコンと USB で接続することもできるし、Wi-Fi(無線 LAN)で接続することもできるので、(時間の都合上すべてではないが)極力両方を測定するようにした。
測定は、安定して測定を行えるブロードバンドスピードテストで行っている。時間のある時は部分的に他のサイトでも測定しているが、異常値を除けば傾向はおおむね同じだった。
有線である USB 接続の方がスピードが出るものだと考えていたが、思ったほど差は無い。川崎では結構な差があるが、他は誤差の範囲内だ。
とはいえ、Wi-Fi は無線なので不安定な面もあり、パソコンとルーターが近すぎると速度が出ないことがあった。ルーターを胸ポケット(低温火傷注意)に入れた時の方がスピードが出た。
しかし、利便性は Wi-Fi の方が高いので、通常は Wi-Fi で運用する方が良いのではないかと思う。
そして今回の本題である WiMAX パソコンとルーターの比較であるが、意外なことに、(WiMAX 的な意味で)カタログスペックの低い WiMAX パソコンの方がスピードが出ている。下り速度は全体的に、1 割程度、WiMAX パソコンの方が速い。電波の弱いルミネなら、WiMAX ハイパワー対応のルーターが勝つかと思ったが、そんなことはなかった。
Let's note のホームページを見ると、自社開発の高感度アンテナを 2 つ自動切り替えして電波を受信するとある。2 本のアンテナで同時に電波を受信する MIMO 技術とどのように併存しているのかは分からないが、長年モバイルノートパソコンを作ってきたノウハウによって、最大数値では測れないところで性能を高めているのかもしれない。最新技術を導入したルーターを超える性能を持つとは驚きだ。
このように WiMAX パソコン優位な結果がでると、「大手メーカーではない安価な WiMAX パソコンだとどうなるか?」は気になる。
10 秒ごとの平均ダウンロード速度(KB/s)をグラフにしたのが右。ほとんどの時点で、WM3600R の方がスピードが出ている。全期間の平均を取ると、Let's note が 1,239 KB/s、WM3600R が 1,311 KB/s となり、5% 程度 WM3600R の方が速い結果となった。3 分ほど継続して測定した上での 5% 差なので、誤差ではなく、WM3600R が速いと言って良いのではないだろうか。
ブロードバンドスピードテストでの測定だと WiMAX パソコンが速いことが多く、TCP Monitor Plus だとルーターの方が速い結果となり、一概にどちらが良いのか分からなくなってきたが、電波強度・状況に応じて得意不得意があるのかもしれない。
TCP Monitor Plus の画面でリアルタイムの受信速度を見てみるとまた面白い。
Let's note の受信速度は非常に安定している。もちろんずっと平らなわけではなく、10 秒単位では少しずつ上下するが、瞬間瞬間だとあまり変動しない。
一方で、WM3600R は速度が上下している。
無線通信である WiMAX の受信速度の推移なので、どちらかといえば WM3600R の動きが通常で、Let's note の安定度がすごすぎると言える。
最新のルーターに匹敵する速度と言い、安定した通信と言い、Let's note の完成度は高いと感じた。
皆様も是非、ご登録お願いします。
★ 使用機器
- WiMAX パソコン:Panasonic Let's note J10(2011 年春モデル:CF-J10QYBHR)
- モバイル WiMAX ルーター:NEC アクセステクニカ AtermWM3600R(PA-WM3600R)
WiMAX の通信速度は下り最大 40Mbps、上り最大 15.4Mbps だが、WiMAX パソコンの場合は下り最大 28Mbps、上り最大 8Mbps までしか対応していない。また、WiMAX パソコンのチップは 2 種類あるが、Let's note は TAS 機能無しなので、仕様上、上りの速度が出にくい。
モバイルルーターの WM3600R は、WiMAX ハイパワーに対応しており、電波が微弱な環境でも通信を行いやすい。下り速度は最大 40Mbps(仕様上記載が無いが商品説明において記載あり)で、上り速度は仕様上明示されていないものの、前機種の WM3500R が上り高速化対応なので、当然後継の WM3600R も 15.4Mbps 対応と考えて良いだろう。ただし、ルーターとパソコン間の通信を Wi-Fi(無線 LAN)で行う場合は、WiMAX←→Wi-Fi の変換がどのくらい速度に影響するのかは気になるところだ。
WM3600R で WiMAX 通信を行う場合、速度測定は WiMAX を無効にした Let's note で行っている。従って、WiMAX 通信以外の環境は Let's note で揃えられており、純粋に WiMAX パソコンとモバイルルーターの WiMAX 速度比較を行える環境と考えられる。
★ 測定結果
測定場所 | Let's note | WM3600R(USB 接続) | WM3600R(Wi-Fi 接続) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
下り速度 | 上り速度 | 下り速度 | 上り速度 | 下り速度 | 上り速度 | |
川崎市内 屋内 | 20.6 Mbps | 2.91 Mbps | 17.8 Mbps | 2.84 Mbps | 12.3 Mbps | 2.36 Mbps |
京王線 高幡不動駅 | 18.2 Mbps | 2.84 Mbps | 16.7 Mbps | 3.41 Mbps | - | - |
JR 中央線 立川駅 | 15.7 Mbps | 4.19 Mbps | 17.1 Mbps | 3.62 Mbps | - | - |
JR 南武線 谷保駅 | 14.1 Mbps | 2.77 Mbps | 12.4 Mbps | 2.48 Mbps | 11.2 Mbps | 3.14 Mbps |
府中市内 屋内 | 8.46 Mbps | 1.95 Mbps | 7.92 Mbps | 1.29 Mbps | 8.08 Mbps | 1.15 Mbps |
立川ルミネ 9F | 2.46 Mbps | 0.22 Mbps | 1.01 Mbps | 0.19 Mbps | - | - |
Let's note にインストールしてある WiMAX ソフトウェアのバージョンは 6.5。
WM3600R は、パソコンと USB で接続することもできるし、Wi-Fi(無線 LAN)で接続することもできるので、(時間の都合上すべてではないが)極力両方を測定するようにした。
測定は、安定して測定を行えるブロードバンドスピードテストで行っている。時間のある時は部分的に他のサイトでも測定しているが、異常値を除けば傾向はおおむね同じだった。
★ 考察
まず、WM3600R の USB 接続と Wi-Fi 接続を比べてみる。有線である USB 接続の方がスピードが出るものだと考えていたが、思ったほど差は無い。川崎では結構な差があるが、他は誤差の範囲内だ。
とはいえ、Wi-Fi は無線なので不安定な面もあり、パソコンとルーターが近すぎると速度が出ないことがあった。ルーターを胸ポケット(低温火傷注意)に入れた時の方がスピードが出た。
しかし、利便性は Wi-Fi の方が高いので、通常は Wi-Fi で運用する方が良いのではないかと思う。
そして今回の本題である WiMAX パソコンとルーターの比較であるが、意外なことに、(WiMAX 的な意味で)カタログスペックの低い WiMAX パソコンの方がスピードが出ている。下り速度は全体的に、1 割程度、WiMAX パソコンの方が速い。電波の弱いルミネなら、WiMAX ハイパワー対応のルーターが勝つかと思ったが、そんなことはなかった。
Let's note のホームページを見ると、自社開発の高感度アンテナを 2 つ自動切り替えして電波を受信するとある。2 本のアンテナで同時に電波を受信する MIMO 技術とどのように併存しているのかは分からないが、長年モバイルノートパソコンを作ってきたノウハウによって、最大数値では測れないところで性能を高めているのかもしれない。最新技術を導入したルーターを超える性能を持つとは驚きだ。
このように WiMAX パソコン優位な結果がでると、「大手メーカーではない安価な WiMAX パソコンだとどうなるか?」は気になる。
★ TCP Monitor Plus
ファイルダウンロード時の速度を TCP Monitor Plus で見てみると、また面白い結果になった。測定場所は府中市内の屋内。ブロードバンドスピードテストでは Let's note と WM3600R でほとんど違いが無かったが、TCP Monitor Plus で継続して測定すると違いが出てきた。10 秒ごとの平均ダウンロード速度(KB/s)をグラフにしたのが右。ほとんどの時点で、WM3600R の方がスピードが出ている。全期間の平均を取ると、Let's note が 1,239 KB/s、WM3600R が 1,311 KB/s となり、5% 程度 WM3600R の方が速い結果となった。3 分ほど継続して測定した上での 5% 差なので、誤差ではなく、WM3600R が速いと言って良いのではないだろうか。
ブロードバンドスピードテストでの測定だと WiMAX パソコンが速いことが多く、TCP Monitor Plus だとルーターの方が速い結果となり、一概にどちらが良いのか分からなくなってきたが、電波強度・状況に応じて得意不得意があるのかもしれない。
TCP Monitor Plus の画面でリアルタイムの受信速度を見てみるとまた面白い。
Let's note の受信速度は非常に安定している。もちろんずっと平らなわけではなく、10 秒単位では少しずつ上下するが、瞬間瞬間だとあまり変動しない。
一方で、WM3600R は速度が上下している。
無線通信である WiMAX の受信速度の推移なので、どちらかといえば WM3600R の動きが通常で、Let's note の安定度がすごすぎると言える。
最新のルーターに匹敵する速度と言い、安定した通信と言い、Let's note の完成度は高いと感じた。
★ 測定結果の登録
今回測定した結果のうち、駅での測定結果のいくつかは、WiMAX 鉄道スピードテストに登録してある。皆様も是非、ご登録お願いします。