GPS ロガーのなかでも、ボイスメモなど珍しい機能を搭載している機種「V-990」(Victory Technology の COLUMBUS ブランド)を購入したので、使い方をまとめておく。

GPS ロガーとは、その名の通り、GPS で測定した現在位置を刻々と記録するアイテム。記録した位置データをパソコンに転送し、地図上にプロットしたり、写真と結びつけたり、という使い方が一般的。

V-990 は比較的新しい機種で、高性能の GPS チップ MTK II(66 チャンネル)を採用し、22 時間以上の稼働が可能とハイスペック。さらに、ボイスメモ(音声録音)、超長時間稼働モード(スパイトラッキングモード)など独自の機能を備えている。

まだ買ったばかりなので、すべての機能は使っていないが、そこは追々。


目次


現在位置測定
  1. 購入したらまず、充電する。
    • 付属の USB ケーブルで PC と V-990 をつなぐと、V-990 の左上が赤く光って充電される。
    • 3.5 時間程度で満充電になるとのこと。
    • 購入直後でもある程度充電されているようだが、自分でも充電した方が確実。
  2. microSD カードを V-990 に差し込む。
    • V-990 には内蔵メモリは無く、GPS データはすべて microSD カードに記録するため、microSD カードが必須。
    • 4GB までの microSD に対応している。
    • FAT でフォーマットされている必要がある(FAT32 や NTFS は NG)。
  3. V-990_LEDV-990 の電源を入れると、測定開始。
    • 本体上部の小さなボタンが電源ボタンで、これを長押しする。
    • カメラみたいなマークの LED(GPS の状態表示 LED)が緑に常時点灯している状態では、GPS 衛星を捕捉していない。
    • GPS 衛星を捕捉すると、ピピッという音とともに、GPS LED が 1 秒ごとに点滅するようになる(GPS 捕捉までは通常 35 秒程度を要する)。
    • microSD を正常に認識していると、ペンマークの LED(microSD の状態表示 LED)が橙色に常時点灯する。GPS 衛星捕捉後は、データ記録の際、たまに点滅する。microSD を入れ忘れた場合、microSD LED は、電源投入直後にしばらく点滅した後、消えてしまう。
    • GPS データの記録は 1 秒ごと(変更不可)。
  4. 電源を切れば測定終了。
    • 再度、電源ボタンを長押しする。

ソフトのインストール
  1. Java ランタイム(JRE)をインストールする。
    • JRE は、次の Time Album を動かすために必要。
    • 付属 CD の
      X:\Utility\Time Album\Step1. Install The JAVA Virtual Machine\For Windows
      にある jre-7u5-windows-i586.exe をダブルクリックする(32 ビット版 Windows の場合)。
    • Oracle のホームページから最新の JRE をダウンロード&インストールしても良い。
  2. Time Album をインストールする。
    • Time Album は、V-990 本体の設定を変更したり、microSD に記録されているデータ(CSV 形式)を各種フォーマット(Google Earth の kmz など)に変換したりするためのソフト。
    • 付属 CD の
      X:\Utility\Time Album\Step2. Run The TimeAlbum\For Windows
      にある TimeAlbum_V1.9.1_ENG.exe(Windows の場合)をハードディスクにコピーするだけで良い(コピーせず CD から直接起動することも可能)。
  3. Google Earth をインストールする。
    • 付属 CD の
      X:\Utility\Google Earth\For PC
      にある GoogleEarthSetup.exe をダブルクリックする(Windows の場合)。
    • Google のホームページから最新の Google Earth をダウンロード&インストールしても良い。

データの PC への取り込み・閲覧
  1. V-990 の電源を切り、microSD を V-990 から取り出して、PC のカードリーダーに差し込む。
  2. Time Album を起動する。
  3. TimeAlbumのTimeZoneTime Album 初回起動時は、Time Album の「Time Zone」ボタンをクリックし、タイムゾーンを GMT+09(日本の時刻)に設定する。
  4. TimeAlbumでCSVを読み込んだ状態GPS データ(CSV 形式)を読み込む。
    • Time Album の「Import」ボタンをクリックし、microSD の中にある CSV ファイルを指定する。
    • または、エクスプローラーから、microSD の中にある CSV ファイルを、Time Album のウィンドウへドラッグ&ドロップする。
    • CSV ファイルは GPS 測定した日付で名前付けされており、[年][月][日][連番(00 から始まる)].CSV というファイル名になる。例えば、2012 年 10 月 07 日の 1 回目の測定であれば、12100700.CSV となる。
  5. TimeAlbumのExport形式選択Google Earth 形式に変換する
    • Time Album の「Export」ボタンをクリックする。
    • 「KMZ」ボタンをクリックする。
    • ファイル名を入力して KMZ 形式(Google Earth 形式)で保存する。
    • 私の環境だと、ファイル名に日本語を入れるとうまく動かなかった。半角英数のみのファイル名にしている。
  6. V990高尾山軌跡Google Earth でデータを閲覧する。
    • 保存した KMZ ファイルをダブルクリックすると、Google Earth が起動し、V-990 で測定した軌跡が表示される。
  7. microSD を V-990 に戻し忘れないように注意。

V-990 の設定変更

V-990 の設定変更は、microSD に設定ファイルを書き込むことによって行う。
  1. V-990 の電源を切り、microSD を V-990 から取り出して、PC のカードリーダーに差し込む。
  2. Time Album を起動する。
  3. TimeAlbumのDeviceSettings「Device Settings」ボタンをクリックすると、設定画面が表示される。
    • Tracking modes……GPS データ記録時に保存する項目。通常は Standard mode で良い。より多くの項目を保存したい場合は Professional mode にする。
    • Over-speed tag……一定以上のスピードで移動した場合に警告音を出したい場合(高速道路でのスピード出し過ぎなど)は、ここにチェックを入れ、しきい値を入力する。km/h ではなく mil/h(時速○○マイル)であることに注意。
    • Spy mode timer……スパイトラッキングモード(超長時間稼働モード)での測定間隔を指定する(分単位)。10-100 と書いてあるので 10 分以上でないと設定できなそうだが、実際には、1 分以上で指定可能。
    • 設定を終えたら「OK」ボタンをクリックする。

  4. 設定ファイルを保存する。
    • 設定画面で「OK」ボタンをクリックする。
    • TimeAlbumの設定ファイル保存警告注意書きのダイアログが表示されるので「OK」ボタンをクリックする。
    • 設定ファイルの保存先を選ぶダイアログで、microSD カードのドライブを指定する。
    • TimeAlbumのSuccessメッセージが表示されるので「OK」ボタンをクリックする。
    • TimeAlbumのCONFIGtxtmicroSD に「CONFIG.txt」というファイル名で設定が保存される。
    • 通常モードの測定データの記録間隔(1 秒固定)や、動作音の On/Off は設定できない。
  5. microSD を V-990 に戻すと、次回測定時から、設定が反映される。

その他

microSD を V-990 本体から出し入れする際は、必ず電源を切ろう。電源を入れたまま出し入れすると、最悪壊れる可能性があるとのこと。

せっかく USB で PC と繋げられるのなら、USB マスストレージで microSD の中身を読み出せれば良いのに、と思うのだが、そうはなっていない。いちいち microSD を本体から出し入れするのは面倒くさい。

他に、V-990 の難点は、ストラップを通しづらいこと。普通、ストラップ穴は緩やかにカーブしていて、ストラップを押し込めば反対側の穴から出てくるが、V-990 はストラップ穴がカーブしていない。どころか、逆段差があってピンセット等でつまんで引っ張り出さないと無理。

逆に、利点としては、格安 GPS ロガーの GT-730FL-S よりも電波感度が高い(電波を拾いやすい)。まだあまり使っていないが、この違いは分かりやすい。




≪GPS 軌跡(実際の動作結果)の記事≫
※その他の記事については、一覧を参照。

V-990外観≪V-990 の主な仕様≫
  • サイズ:74(縦)×43(横)×9.9(高さ) [mm]
    (QUO カードより 1 周り小さい)
  • 重量:55g
  • 稼働時間
    • 通常モード:公称 22~24 時間
    • スパイトラッキングモード:公称 15~30 日
  • 記録間隔
    • 通常モード:1 秒(固定)
    • スパイトラッキングモード:1~100 分
  • 記録可能データ数:4GB microSD の場合 5,000 万件
    (1 秒に 1 回の記録で約 580 日分)
  • GPS チップ:MTK II(66 チャンネル)
※写真について:ストラップは付属品とは異なる。USB メモリと QUO カードは大きさ比較用。

≪更新履歴≫
  • 2012/10/09 主な仕様を記述。